『ゲド戦記』だから期待する

いやあ、いいなあ。ゲド戦記は大好きなので、うれしくなる。思えば、ゲド戦記第一巻を読んだときの衝撃はすごかった。
私は、ファンタジーというものは【異世界を舞台とした現代風刺】だと思っているので、良質なファンタジー小説ほど、書かれた時代の「歴史に残らない民俗や逸話」が盛り込まれているものだと思っているし、「人間」や「社会」が描かれていると思っている。なのに、異世界を舞台にした夢物語なだけの荒唐無稽な冒険譚ばかりが氾濫していて、どーにもそこに学べる要素を見出せないでいた。そんな時に出会ったのがゲド戦記第一巻だったので、まさに夢中になって読んだ。

というわけで、自分にとっても第一巻が一番好きで、愛着ある本のひとつ。だから今回映画化されるのが第三巻だってのが残念だったんだけど、監督がゲド戦記第一巻が(今は一番ではなくとも)好きだったってのを知って受け取り方が変わった。期待したい。

余談だけど、「ドラゴンランス戦記」と「ドラゴンランス伝説」は傑作だと思う。TRPGを元にしたものの中では群を抜いて面白い。泣けるし。ただし、それは書き手がうまいからであって、物語や世界観の質は特に高いと思わない。ま、面白いものは面白いんだから、そんなことはあまり気にならない。

さらに余談になるが、ハリー・ポッターはクソだ。ゲド戦記が一流の料理人が吟味した素材で作った料理だとしたら、ハリー・ポッターは安手のハンバーガーだ。他の作品を知らなければ面白いのかも知れないが、私にとっては読むのも観るのも苦痛でしかない。純粋に、まったく、ちっとも楽しめない。