自己責任時代の処世術

勤め人もそうでない人も、読んで損は無い。書き手はリスクマネジメントの必要性を早くから予見していた人らしいが、このコラムではリスクマネジメントの実務的な手法や考え方が載っているわけではない。しかし、色々と示唆に富むコラムだと思った。
たとえば、これ。

リスクマネジメントで最も大切なことは、「自然とモノとヒトとを調和させていく生き方」「和合を求めて無理を排する姿勢にある」と私は確信する。
第3回 独立の気力なき者は、国や会社を思うこと深切ならず

私は、「和合を求めて無理を排する姿勢」というのは、リスクを極力生まないようにすることと受け取ったが、それ以外にも様々な場面で適応しそうだ。
やれセキュリティが必要だ重要だ、やれ情報が資産が…というのはその手の本を読めばたくさん出てくるけども、それは表層の部分でしかなくて、最終的にはその組織や個人の「あり方」が問われるものだと思っている。その「あり方」という点で捉えると、自分を取り巻く環境が違って見える気がする。単純に「知識やスキルがある、実績がある、人材がいる=信頼できる」とはならず、その組織や個人の「あり方」が信頼できるものかどうかで判断すべきという思いが強くなった。

これは以下にこう続く。

自然であるがままということは、平凡なことのようだが、実はとても大切なことではないだろうか。人生にはいくら努力してもどうにもならない場合がある。悲しいこと、つらいこと、泣き叫びたいくらいお先真っ暗なこと……。

そのようなとき、それらの不幸や不運をあるがままに受け入れて逃げないこと。逃げれば逃げるだけ、不安や悲しみ、失意は追いうちをかけてくる。だから、いつまでもクヨクヨ悩まずに、自然に接し、深呼吸し、自分にふりかかっているものをドーンとのみ込むこと。そして、今、自分が為すべきこと、それがたとえ小さなことではあっても、為すべきことに一所懸命取り組むこと。

今、やるべきことをきちんとやることによって、自分がいつのまにか、リスクに打たれ強くなっていることを発見できるだろう。
第3回 独立の気力なき者は、国や会社を思うこと深切ならず

「今、やるべきことをきちんとやることによって、」…耳が痛い。