個人情報の分類に意味がないか?

これは、意味があると思います。学者がどうとか、企業がどうとかではないでしょう。

【漏洩された被害者の場合】
普通に考えて、被害にあった人は被害の程度を把握したいでしょう。そのためにも「どこからどこまで」を的確に説明してもらいたいはずです。少なくとも私はそうです。なぜかというと、具体的な状況を知らなければ、具体的な自衛策を講じることが難しいからです。で、そのときに簡潔に説明する手段として情報の分類には意味があると考えるわけです。
れですもさんも書かれていますが、クレジットカードの情報が漏洩した場合には、すぐにカード会社に連絡を取って止める必要があります。信用情報が漏れていないということは、少なくとも今回はその必要が無いとは言えると思います。

【漏洩した企業の場合】
また、個人情報を集めて利用する側にとっては、適切に管理するためにも分類には意味があります。
氏名も信用情報も健康情報も、すべて「個人情報」というひとまとまりで括ってしまうと、管理方法が区別されません。区別されないことで考えられる問題が、「必然的に低いレベルでの運用に流れてしまう」ということです。
それでいいのか悪いのかってことは全く別の話で、現実にそうです。

「個人情報はどれも大事」というたったひとつの価値観で管理されて一番まずいのがこれです。また、情報が区別されていなければ、DBの設計でも当然区別されないでしょう。*1
特に信用情報は面倒な悪用をされる可能性が高いので、通常の管理体制よりも高いレベルで管理して欲しい種類のモノだと思います。一般的に、信用情報の漏洩は基本四情報の漏洩に比べると、より大事(オオゴト)です。

例を出します。
Yahoo!BBのような会社があるとします。日々、お客様から問い合わせが来ます。これに応対するために、顧客サポートの人員を配置しておきます。顧客サポートに必要な情報は、
顧客名、顧客ID、連絡先、住所、契約内容、利用歴、対応履歴
などでしょう。これらの情報が閲覧できなければ、顧客サポート業務が非常にやりづらいということは想像に難くないでしょう。事業者は、顧客の個人情報を適切に管理することも望まれていますが、顧客に対して行き届いたサービスを提供することも同時に望まれているわけです。ですから、顧客サポート要員はこれらを閲覧できる必要があります。
しかし、顧客サポート要員が信用情報へのアクセスする必要性はありません。一般的な顧客サポート業務では信用情報の閲覧の必要性は低く、かつ漏洩の危険性が高いからです。ですから、信用情報は高いセキュリティで保護された方がいいし、顧客サポート要員よりも上位の権限で管理された方がいいです。*2
ところが、もし情報が区別されていなければ、お客様の情報をすべて閲覧できてしまうかも知れません。一覧出来た方が便利だからです。基本的に「情報」は活用するために保有します。ですから、活用しやすい方、つまり「便利」に流されやすいのです。*3

ということで、分類しないと誰にとってもデメリットが多いのではないか…と思います。
追記

丁度、ここに言いたいことが載っていました。

*1:情報管理の概念がなければDBは作れないと思っています。

*2:顧客サポートは見られなくとも、同じサーバで管理されていれば、開発担当者のアカウントなどで一度に引き出す方法もありそうですけど。

*3:ついでに言うと、一度に複数の個人情報を見る必要もないので、そういう制限もあった方がいいですね。Yahoo!BBの場合はそうではなかったみたいですが