「人は、想像できないことは望まないんだよ。」

これを読んである人と話をしたとき、見出しの言葉を言われました。
この話はひどい話だと思うし、死んでしまったのは可哀想だけど、「お母さんと一緒にお風呂に入ったり、一緒に寝たり、抱っこしてもらいたい。園長先生お母さんに言ってくれない?」ということが言えるのは、それを望めるだけまだましだと。ましと言うと語弊がありますが、まだ少しは人間的な生活が送れていたと言う意味です。
つらつら話をしていく中で、真冬に「何も入っていない空の湯船」で寝かされていた子供の話を聞きました。毛布なんかありません。ある日、その子は母親を捜しに外へ出たそうです。裸足で。「寒い」ということがあまりに当たり前になっていたので、本人は気づかなかったわけです。そして、その子は凍傷にかかり、両足を切断することになったそうです。
トリイ・ヘイデンの本に書かれている話のようなので、当然脚色はあるでしょう。事実ですらないかも知れません。でも、この話が事実でなくとも、似たような境遇の子供はたくさんいるんだろうなと思いました。
ついでに言うと、この話をしてくれた人も似たような環境で育ちました。恋をして、他人と関わるようになって初めて、さびしいという気持ちを知ったと言っていました。それまでは、人と関わることに何の感情も持たなかったそうです。想像できないので。